2012年にFIT(固定価格買取制度)が始まり、太陽光発電設備の設置が本格化してから14年が経過しました。最近ではFIT期間が終了した「卒FIT」の物件も増え、それに伴い太陽光発電設備が付いた中古住宅の売買もよく目にするようになっています。
しかし、中古住宅を買ったものの「売電の手続きが分からず、余剰電力を電力会社にタダで流してしまっている(無料逆潮流)」という、もったいないケースも少なくありません。
今回は、電気工事店としての現場の経験をもとに、中古住宅購入時の太陽光発電の引き継ぎ(名義変更)手続きや、古いパワコン(パワーコンディショナー)の交換について、リアルな実情を交えて解説します。
卒FITを迎える太陽光パネルの現状と選択肢
FITが終了し、売電単価が下がったことで、屋根のメンテナンス(塗装や葺き替え)のタイミングで太陽光パネルを撤去してしまう方も増えてきている印象があります。
撤去される主な理由は以下の通りです。
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一部のパネルが発電不良を起こしている
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パワコンが故障してしまった
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屋根の工事に合わせて脱着すると、足場代などの工事費用がかさむ
売電価格が落ちている状況では、高額な費用をかけて古い機材を更新・再設置しても、なかなか元が取れないのが現実です。
蓄電池を導入して自家消費に回す方法もありますが、補助金を活用したとしても、電気代の節約だけで元を取るのは現状では厳しいご家庭が多いでしょう。(もちろん、停電時の防災対策やEV車との連携という面では大きなメリットがあります)
太陽光発電付き中古住宅を購入したらやるべき手続き
前置きが少し長くなりましたが、太陽光発電設備付きの中古住宅を購入した場合、設備が生きているならしっかりと売電の手続き(名義変更)を行うことをおすすめします。
仲介の不動産業者さんが手続きをサポートしてくれれば安心ですが、そうでない場合、自家消費しきれなかった電力をただ無料で電力会社に送っているだけの状態になってしまいます。
先日、私が依頼を受けたのは「20年以上前に設置された卒FITの太陽光設備付き住宅」を購入されたお客様でした。 パネルの電圧をチェックしたところ全く問題なく発電できそうだったので、以下のような売電契約の手続きを行いました。
1. 電力会社への譲渡申請・売電契約
まず必要になるのが、物件(太陽光設備)の譲渡手続きです。 今回は「設備ID番号」が判明していたため、それをもとに申請を行いました。
【用意した主な書類】
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物件の登記簿謄本
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物件を取得した方(新オーナー)の印鑑証明
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電力受給契約申込書
この電力会社への手続き自体は、電気工事店でなくても家主さんご自身で行うことが可能です。(今回はご高齢のお客様だったため、当方で代行しました) 無事に申請が受理されると「電力受給契約のお知らせ」という通知書が届き、これで売電が可能になります。
2. 経済産業省(JPEA)への事業計画変更認定申請
電力会社だけでなく、経済産業省(JPEA:太陽光発電協会)への届け出も必要です(※容量等により要不要があります)。
ここが少し厄介なのですが、経産省への申請手続きを「有償」で代行するには、行政書士や司法書士などの資格が必要になります。 電気工事そのものは「登録電気工事店(電気工事士)」しかできないのに、経産省への書類手続きは有償で請け負えないという、なんだか縦割り行政の変なルールが存在します。
卒FITでただでさえ売電収益が少ないのに、士業の方に高い報酬を払っていては元が取れませんよね……。そのため、今回は「無償」の範囲としてこちらで申請をサポートしました。
【経産省への申請の流れ】
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申請作業を行う人がJPEAのサイトでアカウントを取得
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物件の設備IDをもとに所有者変更申請を行う
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電子申請(書類をスキャンしてアップロード) ※申請者が所有者本人でない場合は、本人の印鑑証明と委任状が必要です。
古いパワコンの交換にも煩雑な手続きが必要
今回の事例では、調査の段階でパワーコンディショナー(パワコン)に不良が見つかったため、パワコンの交換工事と申請も行いました。
最近は、DIYで中古のパワコンに交換してしまう方も見受けられますが、本来は交換時にもきちんとした申請が必要なため、安易なDIY施工はおすすめできません。
パワコン交換時の各種申請
まずは管轄の電力会社(今回は中国電力)への交換申請です。 ※この手続きは「登録電気工事店」でなければ行えません。
WEBから申請を行い、パワコンのJET認証や製造番号が記載された出荷証明書などを添付します。なぜか「容量は変えていないのに契約容量変更申請も必要」と言われるなど、窓口担当者でも理由がわからないような謎のルールもありました。
さらに、電力会社だけでなく経済産業省へのパワコン交換申請も別途必要になります。
売電に直接関係ないような卒FIT(補助金も絡んでいない)の設備であっても、こうした時代遅れで面倒な手続きを踏まなければなりません。 手続きが面倒すぎて「タダで逆潮流(無料売電)させていればいいや」と思ってしまう人が多いのも頷けます。
まとめ:正しく手続きして太陽光発電を活用しよう
卒FITを迎えた物件の場合、個人的にはDIYで蓄電池を設置して自家消費を極めるスタイルも楽しくておすすめだなと思っています。
しかし、「せっかくの設備だから正攻法できちんと売電したい」「パワコンを新しくして長く使いたい」という方は、ぜひ諦めずに手続きを行ってみてください。
もし、中古住宅を買って太陽光の引き継ぎ手続きが分からない、パワコンの交換工事や申請をプロに頼みたいという方は、登録電気工事店である当方へお気軽にご相談ください!


